Thursday, October 15, 2015

気分は、アミノ酸から作られる



雨季に入ってきましたね。四季を感じて育った日本人には、ポートランドのこの季節も情緒があっていいものです。雨の合間に窓から木漏れ日がきらきら入ってきたりすると、ほっと小さな幸せを感じます。

ところで、このように私たちが日々抱く感情は、脳内でどのように作られるかご存知でしょうか?感情は、脳細胞で作られる神経伝達物質から生み出されます。脳が内外からなんらかの刺激うけると、脳や体内で連鎖反応が起こり、感情が作り出されます。

例えば、幸福感・安心感は、セロトニンという神経伝達物質の効果とされています。窓からの木漏れ日に幸せを感じた私の脳内を分析してみましょう。

(身体的な効果)皮膚がUVを吸収しビタミンDを生成 → ビタミンDが神経伝達物質セロトニン生成を促す → 脳細胞からセロトニン放出 → 幸福感

(連想の効果)懐古 → 癒されたカウアイ旅行の思い出 → 脳細胞からセロトニンが放出 → 幸福感

生物学的にみると、生活環境が安定している時にセロトニンが放出されます。つまり、太古の昔、森に住んでいたころ、敵に襲われる危険がなく、家族に守られ、空腹が満たされている時にセロトニンが放出されるわけです。そう考えると、ストレスで食に走るという行為は、どうにもならないストレスを食で埋めることで安定を求めているともいえますね。

恐怖心や怒りなど、ネガティブな感情はノルエピネフリンという神経伝達物質の作用と言われています。

2軒隣に住んでいる天敵フレンチブルドッグに遭遇し、一目散に逃げる娘さちの例を分析してみましょう。

突然フレンチブルドッグが現れる → 危険を察知 → 脳細胞からノルエピネフリン放出 → 副腎からアドレナリン放出 → さらに副腎からコルチゾール放出 → 突発的なエネルギー上昇 → 全速力で逃げる 

ここで、逃げ遅れたとしましょう。。。エンドルフィンという神経伝達物質が放出され、恐怖心を和らげてくれます。マラソン・ハイという言葉がありますが、体を極限まで追い詰めるとエンドルフィンが放出され、不思議な多幸感に包まれます。太古の昔に森で暮らしていた頃、熊に襲われて逃げ遅れ、絶体絶命のその瞬間にエンドルフィンが痛みを和らげてくれるわけです。

逆にみごとに逃げ切って、その達成感で高揚したら、それはアドレナリンからの刺激を受けてドーパミンという神経伝達物質が放出されています。バンジージャンブやジップラインなど危険行為が大好きな人は、アドレナリン→ドーパミン経路の興奮にはまっています。

ただ、楽しいはずのドーパミンもいきすぎると刺激過多になり心配性を発症することもあります。そういう場合は、ガバという神経伝達物質が放出され、作られすぎたドーパミンをオフセットしてくれます。体とは実にうまくできていますよね。

ところで、こうした神経伝達物資のすべては、アミノ酸から作られています。セロトニンは、トリプトファンから、ドーパミン、ノルエピネフリン、アドレナリンは、すべてチロシンから作られます。ガバはグルタミンが体内で変化して神経伝達物資になります。アミノ酸が多く含まれる食べものはたんぱく質です。つまり、毎日の食事で、良質の肉や魚、豆腐、豆類などをしっかりとることで、健康な精神の基盤が作られるのです。基盤となるアミノ酸が神経伝達物質へ変換するためには、ビタミンBやC、亜鉛などの栄養素も必要です。

人間の感情や精神は、まだまだ研究途上です。これからどんどん解明が進んでいくでしょう。けれでも、今、確実に言えることは、体には自浄作用が備わっていて、正しく機能してさえいれば、健全で安定した気分が作られます。そのためには、毎日の健康な食事と生活習慣が一番大切なのです。

千賀子・ハーパー(西脇)
自然医学(ナチュロパシー)を専門とするオレゴン州認定のファミリードクター。副作用をともなう製薬を極力さけ、身体にやさしい自然療法で心身ともに真の健康をめざす統合医療に取り組んでいます。糖尿病、心臓血管病、婦人病、神経痛、アトピー性皮膚炎、アレルギー、自律神経失調、ホルモンバランスなど、また定期検診、婦人科検診、栄養指導など、日本語でお気軽にご相談ください。各種健康保険の適応あり。

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